「お金を借りる人々(カードローン系)の分析」

当初私はえっ以外!?みんなが借金する理由ランキングベスト10と対処法 – お金の教科書を読んで

借金の理由を肉体保持のための現実的なもの
結婚式・旅行・衝動買い・ギャンブル/遊びなど、脳神経的・イメージ的なもの

の二種類に分けられると考え、前半部の分析を書きました。

しかしそれからもっと真面目なデータが見つかり、最初のランキングもただ、生活において急にお金が必要になる状況というだけではないかと思えるようになりました。
ただ持ち運ぶカードローン系の分析という意味では、前半部も意味のあるものになっていると信じています。

『お金を借りるとは何か』

所有とは何か

1

所有とは、それをどう使うかについての最終的な決定権を持っているという、社会的な合意だ。
例えば、他に全く配慮せずに国をどう使うか決めることができる独裁者は、その国を所有している。
その意味で、所有しているかどうかは状況が決める。
例えば、他に配慮する必要が出てこれば、その独裁者も国を所有しているとは言えなくなる。

交換とは何か

2

交換とは、合意の元で、お互いの目的のために融通し合う事だ。
その意味で、交換は所有権の移動に限らない。

借りるとは何か

3

借りるとは、それの使用法についての最終的な決定権を持たないまま、使用権を与えてもらう事だ。
交換の場合は、最終的な決定権を持たないので、借りた側は常に融通し続ける事になる。

貨幣の発生

4

それぞれが交換でなるべく多くの所有権を持とうとする中で、相場が生まれる。
相場が生まれて初めて価値基準が統一され、それからは実質的にあらゆるものが貨幣になり得る。
ただ交換の手間があるので、多くの人が求めるもの、例えばお米や、金や貝殻など美しいものが選ばれる。

現代の貨幣

5

1971年のニクソン・ショック以降、基軸通貨であったドルは金と交換できなくなり、貨幣はその根拠を失ったと言われています。
しかし、考えてみれば金は美しいだけで、金自体を必要とする人はほとんどいません。
美しいものはそこらにあふれているわけで、もともと人々が金を求めるのにも理由なんて無かったのです。
その意味で貨幣も、金の交換券であるような種類の根拠は必要ないのです。
そのことについては後から考えるとして一旦保留し、それでは現代の貨幣の根拠は何かというと、私は一つには国防があると思います。
例えば日本の通貨がドルだったとして、アメリカがドルを大量発行したら、日本の資産はそれだけ減ってしまいます。
だから国家は通貨の発行権を握ろうとします。お米や金や既存の通貨などを前提にして、通貨として成立してしまえば、国家はお米や金などの不安定要素や他国が発行権を持つ通貨を締め出すはずです。
しかしビットコインは暗号で発行量を制限することで通貨として成立していて、しかもゼロから立ち上がっています。
おそらく国家に縛られない貨幣というイデオロギー、歴史的重要度が燃料になっているんじゃないかと思うのですが。

Section2

『人間は生物として何を目的とするか』

生物としての人間の目的には

  • 肉体の保持
  • 優秀な子孫を残すこと
  • 群れにおける地位
  • 退屈の解消、楽しむこと
  • そして美しさなどそれ自体

の5つがあります。

最初の3つは、生物の、多細胞生物の動物の、群れを作りしかも順位制を持つ種なら、普遍的に持つ目的だと思います。
「群れ」


「順位制」

4つ目の目的は学習に関係しています
例えば肉食獣は環境によって狩りの方法が違い、子供はその環境に合った方法を習得する必要があります。
その時に必要になるのが遊びの本能ですが、人間は脳が大きいので、比較的大人になってもその本能を失いにくいのだと思います。

不可解なのは美しさの感覚など、それ自体への欲求としか言いようが無いものです。
次はそれ自体の内の、美しさの感覚について考察したいと思います。

Section3

『美しさの感覚が生存上有利に働いた理由・美しさとは何か』

まず何において美しさの感覚が存在するかを考えると、視覚聴覚においてはもちろん、味覚や女性、妙な例では数学者は数式にも美しさを感じるそうです。
味覚や数式など、これらの共通点は神経を通るというぐらいなので、まず美しさは神経レベルにおける感覚だと分かります。

次に、美しさには必ず価値を感じるという事が言えます。
例えば夕焼けは人間社会的に交換不可能であるにも関わらず、人間はそれに価値を感じます。
つまり美しさの感覚は価値への感覚を含むと分かります。

以上の二点により、とりあえず美しさの感覚とは脳神経ネットワークレベルでの価値への感覚だろうと推測できます。
それ以上の条件が付け加わるかもしれませんが、少なくともそれだけは言えるはずです。
そして脳神経ネットワークレベルでの価値(重要度)が直感的に分かると、確かに生存上有利なのかもしれません。

(人間社会における価値基準は「それぞれが交換でなるべく多くの所有権を持とうとする中で」生まれます。
つまり、それぞれが「合意の元で、お互いの目的のために融通し合う」(なか)でなるべく多くの「使用法についての最終的な決定権」を持とうとする中で、生まれます。
これは当てずっぽうですが、もしかすると人間の脳神経ネットワークにおける価値(重要度)の発生にも同じような事が言えるのかもしれません。全く関係ない話で、言えない可能性の方が高いですが。)

Section4

『何がそれ自体になり得るか』

理論上では、あらゆるものが脳神経的なそれ自体になり得るはずです。
生のイメージ・死や恐怖のイメージ、美人のイメージ・ブスのイメージ、成功のイメージ・喪失のイメージ、楽しいというイメージ・つまらないというイメージ。
またギャンブルのような反射や美しさ。そういう別の言い方で言えば文化や本質が借金の原因になるのではないか、というのが当初の見立てでした。

Section5

『現実に人間は何を目的に借金をするか』

私が探した限り、信用できそうなデータは以下三つぐらいでした。ある程度公的な所でないと調査が難しいのだと思います。
urlで該当ページまで飛ぶようになっています。

総じて、借金全体では肉体の保持を目的としたものが多い、という事が言えると思います。

「借金の目的」(金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査」)

・単身世帯(2016年)

日常の生活資金 32.7%
旅行、レジャーの資金 17.8%
耐久消費財の購入資金 16.3%
住宅(土地を含む)の取得または増改築などの資金 14.4%
医療費や災害復旧資金 6.3%
株式等金融資産への投資資金 3.2%
土地建物等の実物資産への投資資金 2.7%
こどもの教育・結婚資金 2.0%

家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)|知るぽると

・二人以上世帯(2016年)

住宅(土地を含む)の取得または増改築などの資金 66.1%
耐久消費財の購入資金 24.7%
こどもの教育、結婚資金 12.9%
日常の生活資金 10.0%
土地建物等の実物資産への投資資金 4.1%
医療費や災害復旧資金 2.4%
旅行、レジャーの資金 2.1%

家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成19年以降)|知るぽると

ちなみにこれは破産まで行った場合のデータです。
「破産理由 (多重債務に陥った原因)」 (日本弁護士連合会 「2014年破産事件及び 個人再生事件記録調査」)
日弁連破産事件及び個人再生事件記録調査2014

全く関係ないですが、三つ目の総務省統計局の調査で、男女年齢別の借金額です。
「負債の状況」 (総務省統計局 「平成26年全国消費実態調査」)
平成26年全国消費実態調査(単身世帯)(単身世帯)

調査対象の定義はこんな感じで、料理飲食店又は旅館を営む併用住宅の世帯、下宿屋又は賄い付の同居人のいる世帯、住み込みの雇用者が4人以上いる世帯、外国人世帯、が二人以上の世帯で、「二人以上の世帯の対象除外に該当する者」、つまり普通の二人以上の世帯は単身世帯というカウントみたいです。

平成26年全国消費実態調査(二人以上の世帯) (二人以上の世帯)

クレジットカードの使用用途についての調査にはこういうものがありました。こちらは逆にインターネット調査でなければ難しいのかもしれません。



この記事では借金の目的が食い違っていますが、調査方法がインターネット調査なのが影響している感じがします。
日本人が借金をする理由は、半分以上が浪費・遊興費(統計のまとめ) | 美人キャッシング
資金需要者等の借入れに対する意識や行動に関する調査結果報告

Section6

『行動経済学からの説明』

普通、経済学では、それぞれの人間が合理的に動く事を前提にモデルを立てます。そうでなければ経済についての純粋な議論ができないからです。
行動経済学は、人間が非合理的に動くことに着目してモデルを立てようとするジャンルで、借金をする人々について考えるには、このジャンルが適しているかもしれません。

私が調べた限り、行動経済学には「近視眼性」・「現状志向バイアス」・「時間割引」という考え方があって、具体的には今もらえる5万円と一年後にもらえる7万円では多くの人が前者を選ぶという話なんですが、これは年利に直してみると40%にもなります。

だとすれば、利率という事で言えば人間は少額であれば借金をするはずの生き物だという事になりますが、そうならない理由もまたプロスペクト理論というので説明されているようです。
「人は利益を得られる場面ではリスク回避を優先し、損失をこうむる場面では損失を回避する傾向がある」、という理論だそうです。
行動経済学とは?意味や具体例は?従来の経済学との違いは? | BRAVE ANSWER

今回の分析で、私は大まかな枠組みは示すことができたと思っています。
私は数式は苦手ですが、具体的に続きを考えられるなら行動経済学が適しているのではないかと思います。

執筆 笹原悠吾氏

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